日本には800種類を超える樹木があり、建材として使える木もたくさんあります。また、入手しやすさや独特な性質のために、外国産の木もかなりの種類が入ってきています。
詳しいことは専門の本などを見ていただく必要がありますが、ここでは少しだけ、主な材木の特徴を見ていきます。建築用材として主流になるものは針葉樹材です。まっすぐな上に、比較的軽くて強く、加工性もよいからです。

南木曽木材産業 本社にて

【ヒノキ】
日本固有の木材で、肌がこまやかで白く光沢があり(心材は淡い紅色)、芳香もあるので人気があります。ある程度の堅さがあって、加工しやすく狂いにくく、耐朽性も高く、かつ長年強度が落ちないので、世界最良の針葉樹材といわれています。古くから神社仏閣の建築材として重用されてきました。芳香成分は殺菌性があり、ダニの活動も抑えます。また人間にはリラックス効果があるので近年はチップにして枕にしたりもします。ヒノキの風呂は定評がありますが、実は耐水性はそれほどないので、よくメンテナンスをしてできるだけ乾燥させるようにする必要があります。芳香成分が菌を殺してしまうため、鮭樽・味噌樽といったものには用いません。樹皮で「檜皮葺き」という、伝統的の屋根造作がされます。

【スギ】
やはり日本固有の木材で、ヒノキとともに昔から植林されてきました(谷筋の湿った土地にはスギを、尾根の乾いた土地にはヒノキを植えるのが昔からのやり方です)。実生のほかに挿し木でも増やすことが可能です。ヒノキに比べ芳香や色などで劣り、柔らかく強度がありませんが、育ちやすい(ヒノキよき二割以上早く育つ)ので価格が手ごろです。幹の中心部分には耐朽性の高い物質が含まれていて、色が赤いため「赤身」と呼ばれます。この部分は水に強いので、風呂や外回りなどにも使われます。周辺の樹脂の少ない部分は「白太」と呼ばれ、湿気を吸いやすく、押入などに用いると調湿作用があります。スギは入手しやすく加工しやすいので、足場材から経木・下駄・割り箸など非常に広い用途をもっています。さらに心材の成分が酒に香りをつけるため、酒樽としては欠かすことができません。また樹皮を屋根に用いたり、葉を線香にしたりもします。

【サワラ】
ヒノキ科ですが、色が黄色く、質、香り、光沢ともにヒノキに劣り、樹脂によるしみが出やすい欠点があります。しかし水に強いので桶や浴室用材として多く用いられます。なお、ヒノキの仲間に、ヒバ(アスナロ。心材は腐りにくく、耐蟻性もあり、土台に好適)、ネズコ(クロベ。心材は渋みのあるねずみ色で、天井板や障子戸の腰板などに好んで用いられる)などがあります。

【マツ】
アカマツ・クロマツなどが通常のマツで、エゾマツ、トドマツ、カラマツなどは同じマツという名でも属が違います。アカマツとクロマツは材木ではほとんど区別できません。針葉樹にしては重く堅く、強度があり、木肌の面白さもありますので重厚感を出すには好適です。樹脂が出やすく、耐朽性や耐蟻性は低いのですが、水中に浸っている状態では長持ちします。自然に曲がった木を梁に用いることもあります。 
カラマツ(カラマツ属)は、土質を選ばず、耐寒性があり、生長も早いので、北海道や本州山岳部に多く、人工林の樹種としてはスギ・ヒノキに次ぐものになっています。日本の針葉樹で唯一落葉する木です。湿気には比較的強いですが、ヤニがしみ出したり、ねじれ変形をおこしたりする欠点があるので、熱処理をして樹脂を抜くとよい木材になります。エゾマツ(トウヒ属)・トドマツ(モミ属)は、スギ・ヒノキがない北海道でスギのように様々な用途に使われています。

広葉樹は種類も多く、材の性質もさまざまです。重厚で、色や木目もバラエティに富んでいますので、構造材よりは内装材、家具などに用いられることが多くなっています。広葉樹材は生産量が少ないため、スギ・ヒノキに比べると入手しにくくなっていますが、一般住宅に使う程度の量でしたら十分対応できるので、専門業者に注文すれば手に入れることができます。

【ケヤキ】
日本の代表的な広葉樹の一つで、材は黄褐色・赤褐色で木目が美しく、重厚感のあるよい材が採れます。狂いがなく耐朽性も高いので、建築から彫刻材まで広く用いられ、とくに社寺の構造材や大黒柱、盆や漆器の木地などとして賞用されます。針葉樹と逆で、年輪幅の狭い方が軽く、狂いがなく、加工が容易です。

【ブナ】
白神山地で知られるように日本を代表する広葉樹で、蓄積も広葉樹の中では最も多いのですが、淡紅褐色の材が緻密で木目が細かく加工性も割合によいため、器から枕木、合板、パルプまで多用され、良材が大量に切られてしまいました。生材はすぐ菌におかされ変質・変色するので、貯木場では散水して防ぐ必要があります。
なお、ブナ科のコナラ属には、ミズナラ・コナラ・カシワなどのナラ類やクヌギ類といった落葉樹と、西日本に多く分布し「照葉樹」と呼ばれるカシ類の常緑樹があります(ヨーロッパの「オーク」はカシと訳されますが、実は落葉樹でナラに近いものです)。ミズナラの材は堅く、すぐれた材木で、洋風の造作に使われます。カシ材も強く堅いので農具の柄、かんな台、船の櫓や舵、機械・土木用などさまざまな用途に使われるほか、薪炭材やシイタケの榾木として利用されます(カシの仲間のウバメガシは備長炭の材料として有名です)。クヌギは里山の代表的な木で、伐っても切り株から芽が出て再生(萌芽更新)しますので、薪などに広く用いられてきました。

【サクラ】
ヤマザクラの仲間のサクラ材はやや硬い良質材なので、器具・家具・建築材として用いられ、貴重材です。特に版画の版木にはサクラ材が最高とされています。樹皮は色つやがよいので小箱などの外側に張るのに用いられ、秋田県角館の樺皮細工は有名です。なお、サクラ材の名称で流通しているものの大半は、カンバ材です。

【クリ】
鉄道の枕木に使われるほど堅くて重い材で、加工しにくいのですが、虫や水に強いので、かつては水回りや土台によく用いられました。床暖房を入れる時や、椅子で生活するフローリングにはクリを使うのがいいのですが、直接すわったり寝そべったりするのには堅いので、くつろぐ空間にはなりません。

輸入材の代表的なものは、以下のものです。

【ベイマツ】
明治時代から輸入されていて、輸入北米材の最大量を占めています。日本のマツと同様、樹脂(いわゆる「やに」)がでやすいという欠点がありますが、太いものがある程度そろった品質で入手できるので、梁などに用いられます。

【ラシアータ・パイン(ラジアタマツ)】
北米原産ですが、南半球で植林され、現在、ニュージーランドマツやチリマツなどの名で輸入されています。基本的にアカマツに近いものですが、軽いものから重いものまで様々です。あまり耐朽性はありません。

【ベイヒ】
これも明治時代から輸入されている材で、日本のヒノキに近いものです。

【ベイヒバ】
日本産のヒバと似ており、耐朽性もあるので、土台や外回りによく使われます。

【ベイスギ】
レッドシーダーと表示されることもあります。スギに似ていますが、耐朽性があり、外回りによく使われます。

【ベイツガ】
値段が安いので非常に大量に輸入されています。スギより若干強度はありますが、年月とともに褐色に変色し、また湿ったところでは腐りやすいという欠点があります。北米の林産業者から「ベイツガは腐りやすいから建築用材には使わない」という話を聞いたことがあります。

【スプルース】
マツ科トウヒ属の総称として使われています。現在ホワイトウッドと呼ばれ、集成材として家具や内装材に使われているのはヨーロッパトウヒが主です。軽く加工しやすい割に強度はありますが、耐朽性がありません。

【ラワン】
木の種名ではなく、熱帯産のいくつかの属の総称です。全般的に軽く弱いので合板やチップとして用いられ、構造材には使用されていません。

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